道州制に対する意見交換会を実施

政権党に復帰した自・公両党は今国会中にも「道州制」導入法案を上程するのではないか。このような情報が伝わってくる中、熊本県町村会として2月13日「町村長による道州制に対する意見交換会」を開催した。

開会挨拶を行う荒木町村会長
(嘉島町長)


 道州制導入の先に見えるのは、町村は姿を消し人口規模で20~30万人の基礎自治体の出現だ。例えば熊本県の場合、人口約180万人だから6から9分割程度の基礎自治体になるのだろうか。今の町村(平成の大合併で31町村に)は人口千数百人から4万人弱の規模まで様々。合併特例法のもと合併が進んだところ、合併はどうしてもいやだということで残ったところと事情は様々だ。まだ、合併の検証もあってないが、よかったとの声は聞かない。
  国の財政事情が厳しいことは十分理解する気持ちも持ち合わせている町村長だが、小規模がゆえにこれまでの住民の顔が見える行政から、ほとんど見えなくなる行政の姿への変化はなかなか理解に苦しむのが当り前だろう。全国町村会では昨年11月に開催された全国町村長大会で「道州制導入絶対反対」の特別決議をしている。
 意見交換会当日は県内31町村からほとんどの首長が出席した。荒木会長が「われわれは住民から“生まれてきてよかった”と言ってもらえるような行政を目指して日夜頑張っている。道州制を導入したら住民主体の行政の姿は見られなくなるのではないか。これでいいのか真剣に訴えていこうではありませんか」とあいさつ。

坂本全国町村会総務部調査室長


  全国町村会総務部調査室長の坂本誠氏が「道州制の何が問題か」と題して現状について説明した。坂本氏によれば①「基礎自治体」は従来市町村が行ってきた事務に加えて、都道府県の事務も継承する。逆にいえば、都道府県の事務を継承できない市町村は「基礎自治体」たりえないこととなる。道州制は必然的に、更なる合併(実質的には強制合併)を伴う。②自民党の道州制基本法案には「市町村」ではなく「基礎自治体」という名称が用いられている。「町村」は、自治体の名称としては存続しない可能性が大きい。③地域コミュニティーは、町村を代替できない。町村と異なり、国や「道州」からの財源保障はなく、対外的な政治的代表性も希薄である――など税財源、本来の地方分権などの観点から分かりやすく説明した。
  同氏の説明を受け各町村長からは、「道州制は受け入れられない。強く反対していかなければならない」「基礎自治体の規模が20~30万人など、住民切り捨てだ」「反対の行動を起こすべきだ」「国は地方の行政を理解していない」など各首長から反対意見が相次いだ。当日は九州各県の町村会事務局長もオブザーバーとして意見交換会に出席、5月に九州各県の全町村長が集まって「道州制」について論議を深めることになった。  

  

会議の様子(写真をクリックすると大きな画面で見ることができます)

坂本調査室長の説明後に行われた意見交換会では、多くの町村長から意見が述べられた。(写真はその一部)

 

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