過疎・山村振興担当者研修会を開催
8月7日、熊本県市町村自治会館別館(熊本市東区)で「令和元年度過疎対策・山村振興担当者研修会」(主催・全国過疎地域自立促進連盟熊本県支部、全国山村振興連盟熊本県支部)が開かれ、県内市町村の担当者42人が参加した。
午前の部では、総務省過疎対策室の竹林遼総務事務官が「過疎対策の現状と課題について」説明。要旨は次の通り。
過疎対策のための「過疎法」は4次にわたり議員立法として制定され、現行の過疎法(過疎地域自立促進特別措置法)は、令和2年度末に期限が到来する。過疎地は全国1,718市町村のうち817あり、全市町村に占める割合47.6%、面積59.7%ある。熊本県は、45市町村のうち27が対象。
過疎法に基づく支援には主に「過疎対策事業債」があり、充当率100%、元利償還の70%が交付税で措置される。平成22年の法改正でハード事業だけでなく「ソフト事業」も対象になり、地域医療、交通手段の確保など用途も広がり使い勝手がよくなった。
過疎法の期限切れを見据えて、有識者の意見交換による「過疎問題懇談会」(座長・宮口侗廸早稲田大学名誉教授)が発足。食料や水の提供、美しい自然景観の維持、農地や森林による防災・減災機能など過疎地に期待される多くの役割を発揮するために、今後も「過疎対策を講じる制度は必要」として議論を重ねており、来年前半にも過疎対策の理念、支援のあり方などが提言される。自民党の過疎対策特別委員会(谷公一委員長)でも議論が進んでおり、ここでも来年までに「基本的な考え方」が取りまとめられる予定。
続いて、熊本県地域振興課の川口愛加主事が「過疎自立促進計画及び山村振興計画」について説明。平成27年に改正された山村振興法の内容について紹介。新たに追加された「産業振興施策促進事項」を含む山村振興計画の作成手順や事務手続きの注意点など述べた。
午後の部では、熊本県市町村課の松村浩介主幹が「過疎対策事業債」のポイントを紹介、積極的な活用を呼びかけた。
続いて、(株)高千穂ムラたび・代表取締役で、(一社)高千穂町観光協会長の飯干淳志氏が「農山村の振興は『人材』と『ビジョン』から 高千穂の取り組みと世界の動き」と題して、公務員を早期退職して民宿経営や甘酒づくりなどに携わった自らの経験や国内外の観光の現状などについて講演。「民宿の設備などはホテル並みのグレードにして、独自の商品、体験を開発すれば、旅慣れした富裕層が集まり客単価は上がる。大事なことは失敗してもめげずにチャレンジを続けることだ」と成功の秘けつを語った。
また、九州農政局農村計画課の柏一彦課長補佐が「山村振興対策について」説明。
続いて、美里町企画情報課の渡邊裕一郎主査が「『町民の生活』『交流』『まちの活力』を支える美里町デマンド交通運行推進事業」について事例発表。公共交通機関が少なく、高齢者のために導入したバス停と町内拠点を結ぶコミュニティバスについて紹介した。
担当部署
熊本県町村会 総務課
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